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相続法の改正と影響

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2018年7月6日に、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)」「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)」が成立し、同月13日に公布され、2019年1月から段階的に施行されています。
約40年ぶりとなる相続法の大改正によって、どのような点が変わっていったのでしょうか。下記にてご紹介いたします。

■自筆証書遺言の方式が緩和されます
相続法改正によって、自筆証書遺言の方式が緩和されます。
改正がされるまでは、基本的に遺言書の全てを自分で書く(自書する)ことが求められていました。
改正により、遺言の文章のうち、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、
パソコンやワープロなどで目録を作成することが可能になりました。
自分の財産の全てを把握して、その一覽を手書きで作成するのは年配の方でなくても大変な作業です。
これを自書しなくてすむことにより、遺言書作成の負担が軽減されることになりました。

■法務局による自筆証書遺言の保管サービスがスタートします
相続法改正によって、法務局における遺言書の保管等に関する法律が新たに成立しました。
改正がされるまでは、自筆証書遺言を保管してくれる公的機関は存在しませんでした。
そのため、自宅に置いておくか、信頼できる人に保管を依頼する必要がありました。
万が一、悪意のある人によって遺言書が改変される、燃やされるなどしてしまった場合、
遺言書が無効になってしまいます。
このトラブルが発覚した時点で、既に遺言を書いた人は亡くなっており、取り返しがつかなくなってしまうケースが多く発生していました。
改正により、自筆証書遺言(民法968条)を法務局が保管してくれるサービスがスタートします。
これにより、遺言者は、遺言書を紛失するリスクや、偽造隠匿されるリスクなく遺言書を保管してもらうことができます。

■遺産分割前の預貯金の払戻し制度が発足します
改正がされるまでは、相続人が複数いる場合、被相続人(亡くなった方)名義の預金口座は、
原則として、遺産分割が終わるまで誰も引き出すことができませんでした。
生活費を被相続人の口座で管理していた場合、遺産分割が終わるまでの生活資金が枯渇してしまうケースが生じていました。
改正によって、遺産分割が完了する前に、預貯金口座から被相続人の現金を払い戻すことができるようになります(民法909条の2)。

■配偶者居住権が新設されました
新しく、配偶者居住権という権利が創設されました(民法1028条)。
配偶者居住権とは、被相続人(亡くなった方)の配偶者が、被相続人が所有していた建物に移住していた場合、
その居住していた建物全部について無償で住み続けることができる権利のことをいいます。
改正がされるまでは、自宅を相続した相続人が、他の相続人にその分の相続財産を分配する必要が生じていました。
その結果、生活費分の相続ができず、生活が困窮してしまうケースなどが発生していました。
配偶者居住権が新設されたことにより、このような不都合を解消できる、より柔軟な遺産分割が可能になりました。

伊藤高德税理士事務所は、一都三県を中心に、相続税申告や遺産分割、相続税の節税対策や生前対策など、様々な相続問題全般について、初回無料の税務相談を承っております。
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