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M&Aによる事業承継でかかる税金の種類|株式譲渡と事業譲渡による違いも解説

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M&Aを活用して事業を引き継ぐとき、売り手と買い手双方にそれぞれ異なる課税関係が生じます。また、M&Aの手法には主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つがあるところ、その手法によっても発生する税金は違います。

株式譲渡にかかる税金

株式譲渡とは「会社のオーナー(株主)が保有する株式を買い手に売却することで経営権ごと会社を引き継ぐ方法」を意味します。

課税関係は比較的シンプルで、株式という形で取引を行うことから課税関係が整理しやすいという特徴を持ちます。

売り手が個人の場合

社長など個人が株式を譲渡する場合、売却益(譲渡所得)に対して所得税・復興特別所得税・住民税が課されます。

税率はトータルで20.315%。ほかの所得とは切り離して計算される「申告分離課税」が適用されますので、所得の大小に関わらず適用される税率は一律です。

なお、譲渡所得は「売却価額-(株式の取得費+譲渡に要した費用)」から算出されます。

  • 取得費について:株式を取得したときの購入代金や払込代金。実際の取得費が不明なときは売却価額の5%を概算取得費とすることも認められている。
  • 譲渡費用について:仲介会社に支払う手数料などが該当する。

売り手が法人の場合

法人が持つ株式を譲渡するとき、株式の売却益はほかの事業所得と合算され、法人税・法人住民税・法人事業税が課税されます。

実効税率はおおむね30〜35%程度が目安とされ、個人が売り手の場合と比べて税率は高くなる傾向にあります。なお実効税率とは、複数の税を合算した実際の負担割合のようなものです。

買い手は対価を支払う

買い手は株式取得のために代金を支払い、株式取得の時点で買い手に新たな課税は発生しません。

支払う金額は会社の規模や業績などによって大きく異なります。画一的な相場があるわけではありませんが、中小企業のM&Aでは「時価純資産額+営業利益数年分」といった簡易な算定式が価格交渉の目安として用いられることがあります。

消費税はかからない

株式譲渡は消費税法上非課税とされる「有価証券の譲渡」に該当することから、消費税は非課税です。

そもそも消費税は「モノやサービスの消費」を課税対象とする税で、株式の売買は資産の移転ですのでこの考え方にはなじみません。

事業譲渡にかかる税金

事業譲渡とは「会社が持つ特定の事業に関する資産・負債、契約関係などを切り出して売却する方法」を意味します。

株式譲渡とは異なり個々の資産や負債を個別に移転させる形をとるため、課税関係は比較的複雑になります。また、事業に含まれる資産の種類によって税の扱いが変わりますし、消費税が絡んでくる点も株式譲渡との大きな違いといえるでしょう。

売り手の場合

事業に属する資産・負債を売却した際の損益(売却対価-帳簿上の価額)が課税対象となり、法人税・法人住民税・法人事業税が課されます。
※個人が売り手だと、譲渡する資産ごとに譲渡所得・事業所得などの区分に応じて所得税や住民税が課される。

税率の目安は株式譲渡の場合と同様で、おおむね30〜35%程度です。

なお、事業譲渡では譲渡代金はいったん会社(法人)に入ります。オーナー個人が手元に受け取るには、その後に役員報酬や退職金、配当などの形で個人へと分配する手続きが必要で、その際さらに課税関係が生じます。

買い手の場合

事業譲渡では取得した資産・負債を時価で引き受け、支払った対価が時価純資産額を上回るときは、その差額を「のれん(資産調整勘定)」として計上します。税務上、のれんは5年間での均等償却が必要で、毎年の損金として計上できます。

また、不動産が含まれるときは不動産取得税と登録免許税も別途発生します。

消費税も発生する

事業譲渡では、課税資産の売却に消費税が課されます。課税対象となる主な資産、対象外の資産は次のとおりです。

  • 対象・・・建物、機械設備、車両、棚卸資産、無形固定資産(特許権や商標権など)、のれん(営業権)
  • 対象外・・・土地、有価証券、売掛金などの金銭債権

 

消費税は買い手から預かる形で売り手が申告・納税します。取引金額が大きいと消費税額も相応の規模になるため、資金管理に注意が必要です。

事業承継税制も要チェック

主に親族や従業員への承継の場面で活用できる税制として「事業承継税制」があります。

贈与や相続で事業を引き継ぐ際の贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の要件を満たし続けることで最終的に免除を受けられる可能性もある制度です。

M&Aによる第三者への売却には原則として適用できませんが、事業承継の方法を多角的に検討するためにも同制度の存在は把握しておくと良いでしょう。